ミサイル破壊措置命令出せず 北朝鮮の発射兆候つかめず
二階堂勇
2016年8月5日18時52分
北朝鮮による3日の弾道ミサイル発射時に、政府が自衛隊に迎撃態勢をとらせる破壊措置命令を出していなかったことがわかった。発射兆候の事前探知は難しくなっており、政府は平時から破壊措置命令を出し、迎撃に備え続けることが可能かどうか検討を始めた。
3日に発射されたミサイルは、中距離のノドン(射程1300キロ)の可能性が高く、弾頭は秋田県の西方約250キロの日本海に着弾した。菅義偉官房長官は3日の記者会見で、破壊措置命令の発出の有無について「事柄の性質上、コメントは控えたい」と述べたが、政府関係者によると、破壊措置命令は出ていなかった。
北朝鮮は、事前の兆候を把握しづらい移動式発射台を利用したとみられる。政府は、北朝鮮が今後も弾道ミサイルを発射させる可能性が高いと判断。事前の兆候がつかめない場合も想定し、破壊措置命令の常態化の検討に入った。自衛隊法は、ミサイルが飛来する恐れがなくなった場合は「速やかに命令を解除しなければならない」と規定。法解釈に問題がないかどうかを確認する。
ミサイルへの迎撃態勢は、イージス艦が搭載している迎撃ミサイル「SM3」と、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の二段構え。展開の長期化は「隊員の健康管理や、艦船の修理、他の任務との兼ね合いが課題」(自衛隊幹部)とされる。防衛省は今後、部隊運用の見直しについて精査する。(二階堂勇)
破壊措置、常時発令へ 政府、北朝鮮ミサイルに対応
政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、自衛隊による迎撃を可能とする破壊措置命令を常時発令した状態にする方向で検討に入った。北朝鮮が発射台付き車両を使った場合、発射の兆候が事前に把握しづらいため、常時迎撃できる態勢を整えるのが目的。政府関係者が5日明らかにした。
ただ長期間、迎撃態勢を維持するには、部隊や装備品の充実が不可欠とされ、実際の運用には課題もありそうだ。
これまでは発射兆候を事前につかんだ際に、その都度命令を出し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載の海上自衛隊のイージス艦や、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開させていた。
(共同)
[東京 5日 ロイター] - 菅義偉官房長官は5日の会見で、北朝鮮のミサイル発射に対応する破壊措置命令の常時発令に関して「警戒監視を行う中で様々なことを考えておくのは当然だ」と述べた。 NHKは5日、北朝鮮によるミサイル発射の兆候を把握して、政府が自衛隊に発令してきた破壊措置命令について、常時発令された状態とする方向で調整に入ったと報道した。菅官房長官は「具体的なことは事柄の性質上、控えたい」と述べるにとどめたが、「北朝鮮(をめぐる情勢)は極めて厳しい状況にある。国民の安全、安心と平和な暮らしを守ることができる態勢をとり、24時間365日警戒監視に当たって、しっかり対応しているということだ」と語った。 「破壊措置」常時発令へ…政府、北ミサイル備え 2016年08月05日 政府は5日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する兆候などを確認し、発令してきた破壊措置命令について、常時発令した状態にする方針を固めた。 複数の政府関係者が明らかにした。北朝鮮が、事前に発射の兆候をつかみづらい移動式発射台から、弾道ミサイル発射を繰り返しているためで、近く発令する。 破壊措置命令を常時発令した状態にすることにより、不測の事態が生じた際には、日本海に派遣しているイージス艦に搭載している迎撃ミサイル「SM3」で迎撃することが可能となる。地上配備型誘導弾「PAC3」についても、東京・市ヶ谷の防衛省内などで即座に展開できる態勢を取れるようにする。 |